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第 6 章 バックグラウンド設定(Offset タブ)

Offset タブでは、スペクトルから差し引くバックグラウンドの種別と範囲を設定します。

Offset タブの初期状態。Offset Type で None が選択され、バックグラウンドを差し引かない設定になっている。

6.1 Offset Type の選択

Offset Type セクションで以下から 1 つを選択します。

タイプ 数式 / 説明
None バックグラウンドを差し引かない(スペクトルそのものをフィット)
Constant \(b(x) = c\) 一定値のバックグラウンド
Linear \(b(x) = b_L + \frac{(b_R - b_L)(x - x_L)}{x_R - x_L}\) 左右端の値で直線補間
Shirley 左右端の値を境界条件として、ピーク強度に応じた反復的バックグラウンド
arPLS 罰則付き最小二乗法と反復重み付けによる自動バックグラウンド
Reference 同じ X 座標を持つ参照スペクトルを読み込み、解析前に差し引く

選択中の関数式は、選択ボタンの下に表示されます。


6.2 Estimation mode(推定モードの選択)

ConstantLinearShirley を選択すると、その下に Estimation mode セグメントコントロールが現れます。

Linear 選択時の Offset タブ。Function Equation の数式、Estimation mode、Prior Range のスライダーが表示される。

モード 動作
Estimate バックグラウンド値をベイズ推定の対象とする
Fixed バックグラウンド値を固定値として与え、推定しない

Estimate モード

  • Prior Range のスライダーが表示されます
  • Linear / Shirley では Left (bL)Right (bR) の範囲を指定します
  • Constant では Constant (c) の範囲を指定します
  • 各 prior 範囲横の Lock アイコン をクリックすると、RangeFixed Value を切り替えられます
  • Range では下限〜上限の範囲を推定対象にし、Fixed Value では単一の値として固定します
  • 初期値は現在のデータに基づいて自動設定され、リセットアイコンで戻せます。
  • Show baseline range on plot トグルを ON にすると、Constant / Linear / Shirley の推定範囲をスペクトル上に表示します

Fixed モード

  • prior 範囲の代わりに、バックグラウンドの 固定値入力フィールド が表示されます
  • 入力した値でバックグラウンドを差し引いて解析します(推定対象にしない)
  • リセットアイコンで固定値を初期値に戻せます

6.3 arPLS

arPLS を選択すると、Smoothing Parameter λ (log₁₀ scale) のスライダーと数値入力が表示されます。

arPLS 選択時の Offset タブ。λ スライダーとバックグラウンドプレビューが表示される。

  • λ が大きいほど滑らかなバックグラウンドになります(初期値は 10⁵)
  • arPLS は解析前にバックグラウンドを計算し、補正済みデータをピークフィットへ渡します
  • プロットには arPLS バックグラウンドが破線で表示されます
  • Linear / Shirley のような左右端バックグラウンド prior は使いません

6.4 Reference

Reference を選択すると、参照値を使って次の式で補正したスペクトルを解析します。

\[ y_{\mathrm{sub}}(x_i) = y(x_i) - r(x_i) \]

Reference は、装置由来の dark / reference / blank など、同じ X 座標で測定された値を差し引きたい場合に使います。

参照ファイルをアップロードする

  1. Offset Type で Reference を選択します
  2. Upload reference を押し、参照値を含むファイルを選択します(.csv / .txt / .dat / .tsv / .xlsx / .xls
  3. Reference import settings ダイアログで、参照名、行範囲、区切り文字、X column、Reference column を確認します
  4. Add reference を押すと、参照データが Offset タブに追加されます
  5. References to subtract のチェックボックスで、差し引く参照を選びます

テキストファイルでは Start row (#) / End row (#) を使って、Raw Data / Reference Data / Dark Data などのうち、参照として使う行範囲を指定できます。ダイアログ内の Raw file preview はスクロールでき、選択中の行範囲がハイライトされます。

参照ファイルの X values は、現在のデータの X Axis と同じ座標を同じ順序で含んでいる必要があります。Data タブで X Range を絞っている場合でも、参照データ側にその X 範囲の値が含まれていれば使用できます。

アップロード済みタブを参照に使う

同じワークスペースに dark / reference などのスペクトルを別タブとして読み込んでいる場合は、Offset タブの Uploaded tab から対象タブを選び、Use tab as reference を押します。

追加した参照はファイル由来の参照と同じように References to subtract に並びます。複数の参照を選択した場合は、選択したすべての参照値の合計を解析前に差し引きます。たとえば Dark と Reference の両方を選ぶと、解析には Y - Dark - Reference の値が渡されます。

解析と表示への反映

  • Reference補正は解析前に適用されます。
  • 中央プロットには参照バックグラウンドが表示され、補正後の値を確認できます
  • 参照はバックグラウンド関数のパラメータ推定ではないため、Constant / Linear / Shirley の prior 範囲は表示されません
  • 参照を削除したい場合は、削除対象にチェックを付けて削除アイコンを押します